海外製油圧シリンダ フレーム修正機用ラムシリンダの修理
今回ご紹介するシリンダはこちら
自動車のフレーム修正用ラムシリンダ
オイル漏れでお預かりです。
こちらのシリンダは、油圧と空圧のハイブリッドのような構造になっています。
画像右側のポンプにはオイルが入っており、エアホースを接続できるカプラーがついています。エアホースを接続しポンプとシリンダをホースで締結。
ペダルを踏むとタンクにエアが流れ込み、タンク内のオイルが押し出される。押し出されたオイルがシリンダに送られるという仕組み。言葉ではわかりづらいので、実際に動いている映像を
実際にストロークさせたところ、シリンダ部分からの油漏れは微量で、ポンプ底面のドレンからのオイル漏れがすぐに確認できました。短時間の負荷ではわからないことも多いので、フルストロークさせた状態で時間をおいてストロークの変化が無いかテストします。
短時間ではわかりにくかったのですが、時間を置くとストローク量の変化とロッド根本からのオイル漏れが確認されました。
早速分解作業開始です。
通常図面のない中で、原状復帰ができるか慎重に分解していくのですが、
今回は海外サイトで、酷似した形状の図面が見つかったので、それを基に分解をします。
このような形で無事に分解できました。画像下にあるバネの取り外しに難儀しました。下端はピンで抑えてあり、反対側はボルトで固定してありました。ボルトのメスがバネの中にあり、ボルトを回すとバネごと回ってねじが緩まずバネの力で戻ってきてしまいます。
内部はこのような構造になっていました。初めて見る構造でしたので非常に興味深かったです。
シリンダ内部に傷が確認できました。恐らくこの傷とパッキンの劣化によってオイル漏れが発生していた可能性が高いです。表面をきれいに処理しないとパッキンも十分に機能を果たせないので、内部の研磨をし傷を完全に除去します。
その他各部の研磨、再メッキ、パッキンを新調して組立ます。
ここでパッキンの話を少し。
ピストンに適合するパッキンが見つかればすぐに組付け可能ですが、適合するパッキンが見つからない場合は、日本製のパッキンを導入し、部品を加工または再製作します。再製作ではお客様の仕様に最適化し、高品質を保証しますが、費用や修理日数がかかり、急ぎの対応が難しい場合もあります。また、適合パッキンが見つかっても納期が長く、高額になることがあります。弊社では自社工場で設計・加工を行うため、費用や品質の面で再製作が有利な場合があり、多様な提案が可能です。
今回はパッキン交換時のポイントを公開。
ウレタンゴムのパッキンですが、硬くてなかなか入りません。
温めた作動油で少しパッキンを温めて再度挑戦。
ウレタンゴムの温度が上がることで少し柔らかくなり、挿入できました。
組立後複数回稼働させ、ロッドのストローク量の変化、ロッド付け根からの油漏れ、エアポンプ裏からの油漏れ等異常が確認されなかったので修理完了です。